荒木経惟氏は、日本写真界を代表する写真家であり、彼の作品には「花」がテーマとして継続的に登場しています。
このテーマの始まりは、少年時代の遊び場であった浄閑寺(東京・三ノ輪)の彼岸花です。浄閑寺は吉原の遊女たちが葬られた「投げ込み寺」としても知られています。荒木氏はこの花々をモノクローム写真で表現した「彼岸花」シリーズを制作し、これが彼の花人生の原点となりました。その後、1990年に妻である陽子さんが亡くなられたことをきっかけに、荒木氏は花の撮影に没頭するようになりました。
当時の作品は「色景」シリーズにまとめられましたが、満開に咲き誇る時期を過ぎ、朽ち始めながらも精一杯、咲き乱れようとする花々は、どれも淫靡な美しさを放っています。
やがて、荒木の花写真はモノクロからカラーへと一転しました。「花曲」などに収められた色鮮やかな花たちは、まるで限られた生に燃える色彩を表現するかのように、官能的で鮮烈です。近年の作品では、アクリル絵の具で花弁に色をつける「色情花」シリーズなど、独特のいたずら心で花を描いています。
この展覧会では、これらの花写真の集大成とも言える約300点の作品に、初挑戦の絵画作品「花画」が加えられています。写真家・荒木経惟のどこまでも純粋でかなり複雑な花人生の全貌が紹介されています。
この写真集は、荒木経惟氏の人生や私たちの人生を写し出すものであり、写真家のサインとイラストが入っています。美しい花々と荒木氏の感性が交差するこの写真集は、花の美しさと人生の深い意味を探求する方々にとって魅力的な一冊です。ぜひこの機会に蔵書に加えてください。
[商品名]花人生 / Hana-Jinsei
[著者]荒木経惟 / Araki Nobuyoshi
[出版社]何必館・京都現代美術館
[出版年]2002年11月1日
[サイズ]h340 × w260 × 15 mm
[頁数]91ページ
[言語]日本語 / Japanese
[状態]良好、若干のタバコ臭があります