【考察】 時代の変わり目に考えている、ヴィンテージ家具とアイテムについて

見境もなく気になったらアイテムを探し回り、買い求めていくライフスタイルを送っていたのは過去の話で、その傾向は少しだけ改善しているつもりですが、気がつけばアラウンド40。今まで以上に身なりも生活も健康面でも清潔感を大切にしなければいけないと感じています。

ヴィンテージ家具やアイテムを販売するようになって、5月4日(みどり日)で丸8年が経過します。振り返れば1点1点にストーリーの込められた椅子を105脚も買い購め、デザイン好きな皆さまへ販売させていただくことが出来ました。著名な方ともご縁をいただいたり、美術館やギャラリー、コレクターと呼ばれる方や、何よりもお品物を通じて会話できた “お一人おひとりのお客様” とのやりとりや会話は私にとっての財産となっています。有難いです。

思い返すと2008年頃でしょうか。モダン家具のバブルと呼ばれる方もいる時分ですが、外国のオークションハウスの存在を知ったのもこの時期でした。

「こんなに珍しい家具があるのかぁ。」「日本国内よりも安いぞ。」「輸入や通関ができるようになれたらなぁ。」そんな想いを持って過ごしていたことが少しだけ懐かしいです。日本人でその頃に海外のオークションハウスで売り買いをされたいたのは今よりもずっと少数。そんな時代です。あれから12年。ネットの発達によって、ディーラー間の支払いも、オークションハウスへの参加も一気に敷居が低く簡単になりました。輸入に対する抵抗を持つ方も少なくなってきていると肌で感じています。

日本国内の事情を振り返ると、2000年代のYahooオークションではクラマタ、川久保玲さんの家具作品など、今では見かける機会の少ないアイテムが出品されていることを何度も見かけていましたし、今と比べれば安価に入手することができていました。余談ですが、最近になって “コム・デ・ギャルソンの家具” は2000年代まで、一部の作品で正規にオーダーができたと知りました。バイヤーやギャラリストの情報の繋がりはその頃もあったと考えると、2012年にヴィンテージ家具を扱う、ただの物好きな私が無謀にもネットショップを立ち上げたことは半ば呆れてしまいます。苦笑

ただのもの好きだったこともあり、”偽物”を掴んだり、それをオークションに出品した経験やクレーマーからの心痛める出来事もありましたが、振り返ればいづれの傷も替え難い財産です。悔しい想いもしました。

ヴィンテージ家具販売員と名乗り始めた当初は、日本国内で取り扱われることの少なかったアキッレ・カスティリーニやクラマタの作品をネットショップの中心に並べ、実店舗で取り扱われることの少ない作品を、私の興味の範囲の中から探しながら買い求めたものです。

後から気づきましたが、国内で見かけることの少ないアイテムは、購入希望者も少ないということ。購入至るまでにはモノに対する知識も必要ですから、それらは書籍から紐解いたりしない限りは、物欲まで発展するハズもありません。高額の場合も多いですから。

当たり前ですが、ネット販売を行う上では実店舗のような対面での会話ができません。目に見えない分、接客に必要な心配りが大切だと痛感しました。珍しい商品を販売する場合は、程度の良し悪しなども、特にコレクターにとっては大切になることも知ったため、二束三文の売買も多く経験しました。今なら違った提案の方法を考えると思いますが、なにせ始めてのことばかり、1人模索の連続だった時期です。

縁があってネットのSEOやマーケティング知識のことを身につける機会にも恵まれ(このサイトでは注入していないことが多いです。)家具を取り扱うと同時に身についたスキルもあります。何かを始めるということをは、自分自身を磨くことでもあったのかと気づかされます。

2020年になってもやっぱりモノや美術品。季節の移ろいゆく中での草花など。美しいものを眺めている瞬間や時間は今まで以上に好きになっています。それらは大切な時間となっています。

ただ転売をすればいいや。と考えていたのもひと時の出来事で、まずは自分の感覚を極めた中での作品選びなど、これまで以上に大切にしていかなければいけません。私の物選びの基準で今後大切にしたいキーワードに ”静寂” があります。

“静物画” の魅力に気づいたのも割りと最近のことです。静寂の中での佇まい。それに耐えうるカタチや素材。経年の中で磨かれていくであろうアイテムは何であるのか。コロナ渦で時間にゆとりがあるので、書籍を読み返したりネット検索をしたりしながら過ごしています。

木材のもつ魅力。作品のディテールの美しさ。職人の心意気。行き届いた生活の中で、大切に扱われてきた作品だけが纏う空気のようなもの。気品と呼ぶべきものでしょうか。気に留めれば留めるほどに、多くの発見があると改めて感じています。

「みなさまは素敵な作品との出会いはありましたか。」また、「以前に購入したものの中で、改めて眺めてみるといいなぁ。」と想えるものはありますか。

私もたくさんの家具との出会いもあります。そしてそれら1点1点の品物には譲っていただいた方と思い出があります。

年輪を重ねると感じる景色が変わり、作品をえらぶ基準も変化していきました。

倉庫で管理できる商品の点数には限りがあるため、多くのアイテムを購入することはできません。仕入れては売っての繰り返しです。家具を保管することや、所有することにもエネルギーが必要です。お金も必要です。いままでにも諸先輩から耳にしていたことを体験することになろうとは思ってもいませんでしたので、不思議なものです。

話が脱線してきました。Youtubeもリスタートさせています。私自身、飽きっぽい性分でもありますが、1人でも見ていただける方がいる限りは丁寧に発信を続けていくつもりです。人とのご縁も作品の関わり方も澄み切った空気のように、気持ちよく循環させながら行っていきたい。

いまはヴィンテージ家具との向き合い方も別の視点で取り組む予定です。

言葉で話せるほど整理が出来ていませんが、透明感や清潔感を大切にというこれまで大切にしていたキーワード。+静寂に耐えうるもの。

そして資産としても成立するアイテム。

モダン家具ならどれにも理由をつければ似合うと言葉だと思いますが、現代から考察し始めるとセレクトやチョイスをする人間の感性によって構成は変化すると思っています。

具体的にいうとキュレーターの存在をもう1度チェックしようと思っています。出歩けないときこそ、お会いしてみたい人。伺ってみたいことなど。想像しながらメモにしようとも思っています。モダン家具がアートに近い存在になろうとしている中で、(絵画の評価額とは桁は少ないですが。)取り組めることは大いにあると考えているところです。

素材から選ぶヴィンテージアイテム。来歴から選ぶモダン家具。資産形成の面から考えるインテリアコーディネート。

頭と感性を使った遊びがインテリアの分野にも到来しそうな予感をしています。これまでは一部のコレクターだけの遊びだった分野が、裾野が広がっていくイメージです。

時代が変わっている中で、ワクワクする気持ちを大切に次の1年間も走ってみます。

改めまして、どうぞよろしくお願いいたします。