ヴィンテージ家具を販売するようになって9年目。【2021年】新年に考えるアイテム選びについての忘備録。

2021年7月7日に一部加筆更新しました。

私の自己紹介文は2020年の年末に改めて記載しましたので、よかったらご覧ください。自己紹介はこちら。

自己紹介でも記載した通りハンス・j・ウェグナーのヴァレットチェアの存在を知って27年。デザイン椅子に興味を持ったキッカケです。

振り返ってみると結構年季が入っていているなぁ。と、我ながらゾッとします。

ここ数年はYoutubeの動画更新もblogの更新も年に数回。インスタグラムの投稿も稀。とサボっていると言わざる終えない状況が続いています。

多くの商品を販売しよう。人よりも成果を上げよう。といった欲がないことが発信活動を停滞させている原因だと思います。

前年よりも、これまで以上に。専業ではない私からすれば、売上げの数字だけが、ヴィンテージ家具を販売するモチベーションや継続することの原動力ではありません。

現状に満足しているんだと思います。

私の家具販売の最大のモチベーションは人との出会いです。対等に会話ができる友人ができたのは自慢です。

そう言いながらも、昨年はヴィンテージ家具販売員になって、1番売れた年でした。

私なりに分析をしました。

理由はいくつかあるのですが、緊急事態宣言時に、秋頃にかけてアイテムが市場に出てくるのではとの予測を立てました。例年12月は珍しいアイテムとの出会いも多く早めに倉庫と気持ちに余白を作っておきたかった。

所有者の高齢化。デザインプロダクトが高騰している状況の中、市場に出して利確をさせる方も現れる可能性を想像しました。

何よりもインターネットが急速に普及し始めたこともあって、今まではリサイクル店に流れていたアイテムがフリマアプリやヤフオクに出ると見立てました。

地方で暮らしていても作品と出会える機会が増えることは嬉しい。

「モノからコトへ」

所有からシェアする時代への流れは八方でも聞くことですし、地方でもメルチャリやタイムズなどのサービスを目にするたびに以前にもまして物欲より体験へ価値が移行していると私も感じています。

本来の私も部屋には多くのものを置きたくない性分。倉庫の管理も大変だと感じていた時期でしたので、思い切って椅子を中心に手放すことを決断。決断というほど大きなことでもなかったのですが、相場の60〜70%程度にしたところ直ぐに売れました。

ウェグナーの寝椅子やピーコックチェア、ケアホルムのPK11、クラマタの椅子。

実店舗のヴィンテージ家具屋でも中々見かけることのないラインナップ、珍しいアイテムだったことも早期に売却できた要因だったと思います。

おかげで部屋は広くなりました。週末の掃除もし易くなったことは幸いでした。この時期だけで、椅子を10脚近く手放したと思います。

この時点では売り上げは上がるものの、利益は大きくはありません。中には入手価格よりも安価に販売したものもありましたから。

よく手放したなぁと振り返ることもありますが、後悔はありません。そもそも執着のあるアイテムではなかったのでしょう。

毎月1点の商品を販売できればいいなぁ。程度に考えてきた身ですから、専業の家具店に比べたら意気込みも異なります。

生活が掛かっているわけでもありません。普通に勝負をしてたら負けてしまいます。

専業の家具屋さんから見たら、ビジネスの邪魔な存在でしょう。罵られたこともあるくらいですから。

とはいえ、家具屋を名乗ってから縁あって、インターネットの知識やウェブ制作、マーケティングをお師匠から学びました。

それらの知識は2020年より、ますますストロングポイントになると感じています。

商品選びの感覚も手前味噌ながら他店に負けていないと思います。

海外のオークションに出品すれば100万円を超えるアイテムの売却話が来ても、気乗りしなければ今までは購入を見送っていた位です。欲がない。

話は逸れましたが2020年後半は、来年没後30年を迎えるクラマタ作品の相場の高騰がありました。

おそらく今は日本だけのことです。アジアの方にはこの高騰している情報は届いているようですが、現時点ではヨーロッパやアメリカまではこの情報は反映されていないような気がしています。

情報が浸透するスピードが理由に、世界で売られているアイテムと国内のクラマタプロダクトの価格差が顕著に現れました。

誰にも言っていないのですが客観的に調べたところ、見えてきたこともあります。詳細を書くことは控えますが、目が出るくらいに驚いたものです。

そして所有していた数点のアイテムを売却。2021年も倉庫との兼ね合いを考えながらご紹介する予定。

そして年末にかけて作品の委託を受けました。それも売り上げが上がった要因です。

利益こそ多くはありませんでしたが、amazonへの出品も数年ぶりに再開したことで、販売網も柔軟になりました。

物欲時代は終えたとはいえ、生活に道具は必要です。

私は今までに購入してきた家具たち(デザインプロダクトを指します)が生活環境の変化で不要になったときに、二束三文になるようなことは好ましくないと考えています。

ネットリテラシーが弱い場合はそのような状況にもなりますが、万が一金銭で困った際に、所有している品物がお金になって生活をサポートしてくれたらとも願っています。とはいえ、私にできることもまだまだ小さいですし、影響を及ぼせる範囲も限られています。

私も家具以外の車や洋服に関しては二束三文で手放している派です。

これまでに家具店に委託や卸をしていたこともありますので、少しだけですがデザイナーズ家具に対しては売却の知識と経験があります。

販売者の視点、委託者の視点。それぞれにメリット・デメリットも知っています。

色々な経験の中で販売者の立場として言えることは、商売のバランスと説明説得できるだけの市場やアイテムの知識。

自分自身に責任と芯を持つべきは言わずもがな必要なことだ思います。

これまでに販売してきたデザイン椅子は100脚を超えました。どれも手にしたストーリーがあり、結構珍しいものたちです。

一般的な家具屋さんからすれば1日で売れそうな個数だと思いますが、レア度。資産性からみたときに、積み重ねの力を感じたりするものです。

そして全て身銭を切って買い求めてきた点も自分なりに評価は大きい想っています。

デザインプロダクトは海外オークションで取り扱われる位に作品的に貴重なものと、中古市場で扱われるアイテムの大きく2つのカテゴリーに、より明確に分かれると思います。良し悪しの話ではありません。

海外オークションに出品したことのある私は、作品の来歴の重要性と真偽についてはそこで学びました。痛い思いも経験しています。

かなりシビアな世界です。なにせ文脈を作っているのは外国人ですから。

フリマアプリの発達とその利用ハードルが低くなってきていることを考えると、マニアにとっては作品の相場は私よりも詳しい状況です。

新しい価値観を提供できるほどの知識はありません。感覚的にご提案することも可能ですが、やはり家具は生活の一部。

大切なことは住空間に何を求めるのかの方が先にくるべき思考です。

近年出会った日本で初めてインテリアデザイナーになられた方から学んだことです。

実店舗を構えるヴィンテージ家具店も減っていますが、オンラインで販売をされる家具店は年々増えています。

物が循環していく環境がオンライン店舗が増えることで整っていくことは大賛成です。

反面、手に触れて感じて、商品説明を受けた上で、アイテム選べないことは購入者にとっては不利益だとも思います。

私にできることは、この時代にマッチするであろう作品のご提案。たとえ趣味嗜好の変化で手放そうとした際でも多少なりともお金になるようなアイテムを紹介したい。

リアルに店舗を持っていないことも強みでもありウイークポイントです。ものは考え様。

ヴィンテージ家具は愛用される所有者に寄り添いながら、生活の道具として、そして資産的な価値としての考え方も大切になっていくことを願っています。

資産的な意味合いを多くの方が気付けば、物をより大切に扱っていくことができると考えています。

一時的に預かっているという気持ちもありますが、そんな風に言うと、購入する方にとって重荷ですよね。

ものも行くつくところ「行為」。器の世界と同じで使ってナンボ。

丁寧さを大切に1点1点ご紹介できるように努めますので、本年もどうぞよろしくお願いいたします。