ヴィンテージ家具と古書の仕入れの極意|価値を見極めるプロの視点
〜本当に価値あるものを見極めるということ〜
ヴィンテージ家具や古書を扱っていると、日々さまざまな人が訪れる。その中には、目利きを活かし、価値ある品を探し求める人もいれば、単に転売目的で安く仕入れようとする者もいる。
しかし、本物の価値を見極めるのは容易ではない。
仕入れのリアル:激戦の裏側
市場での仕入れや買い付けは、決して楽なものではない。競りでは人気のある品が熾烈な争奪戦となり、買い出しにしても、現場の整理や交渉、顧客のニーズなど、多くの要素が絡む。ましてや、本当に価値のあるヴィンテージ家具や希少な古書が眠る場所に出会う機会は、そう頻繁にあるものではない。
“一冊” “一脚” にかける時間
古書を探すとき、ときには膨大な山の中から一冊を見つけ出さなければならない。そしてヴィンテージ家具に至っては、数千時間を費やしてようやく一つのアイテムに出会うことも珍しくない。そんな時間と労力をかけて探し出した品物を、転売自体は問題ないが、値引きを求められることにはあまり良い気持ちはしない。
信頼と積み重ねが生む“道”
ネットを駆使しながら価値ある一冊や一脚を探し、古書交換会へ足を運ぶ。このスタイルを続ける中で、仕入れの精度は徐々に上がってきた。しかし最初の頃は、どこに良い品があるのかも分からず、手探りで進めるしかなかった。信頼を築き、紹介を受けることで道が開ける。この仕事は、単なる売買ではなく、品物が持つ歴史や価値を理解し、それを次の担い手へ繋げることが重要だ。
“お宝発掘”という幻想
しかし、実際に現場へ赴けば、想像以上に手間がかかることが多い。いざ蓋を開ければ、膨大な山の中から価値のある一冊を探し出す作業が待っている。古書交換会では、一冊以外はほとんどが廃棄本となることも珍しくない。それでも、その一冊を見つけるために足を運ぶ価値がある。世間が思い描くような「お宝発掘」など、現実にはほとんどない。
目利きの本質とは
ヴィンテージ家具や古書は、時代を超えて愛されるものだからこそ、適切な価値を見極める目が必要になる。単に換金性が高いからといって手を出すだけの人間には、この世界の奥深さは理解できない。
家具や本は、単なる商品ではなく、長い時間を経て人の手を渡りながら価値を持ち続けるものだ。それを扱う以上、目利きの責任と美意識を持つべきだろう。
この仕事は、効率や要領の良さだけでは続かない。蓄積された知識と経験があってこそ、本当の価値を見出せるのだ。