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カート

カートには、まだ何もありません。

記録: 価値をつくるということ──古書と家具が行き先を選ぶまで

価値をつくるということ──古書と家具が行き先を選ぶまで

価値をつくるということ──古書と家具が行き先を選ぶまで

価値は「作る」のではなく、対話の中で立ち上げていく。

今日は、出品作業の合間に「価値をつくる感覚」について、いまの自分の位置を整理しておこうと思う。 在庫と発送に追われながら、それでもこの仕事の核だけは曇らせたくない。

価値をつくるということ

「これはどこへ行くべきか」と問う作業は、商売というより対話に近い

価値をつくる作業は、クリエイティブそのものだ。

家具に出会い、古書に触れ、ページをめくりながら、 「これはどこへ行くべきだろうか」と考える。 その問いは、商売というよりも、ひとつの対話に近い。

物と自分、物と未来。 誰に届くべきか、どんな場所で息づくべきか── 物の側がそっと行き先を教えてくれる瞬間がある。

「なるようにしかならない」──余計な力みを手放す

整理をサボった末に残った、単純で正確な言葉

ここしばらく、頭の整理をずいぶんサボっていた。 それでも、考え続けた末に出た結論はとても単純で、そして正確だと思う。

「なるようにしかならない」。

それ以上でも以下でもなく、 しかし、この言葉のなかに余計な力みを手放した自分の立ち位置が、 そのまま映っている気がしている。

美術館の売店で聞いた話:価値づくりはアートと同じ

肩書きではなく、「物との向き合い方」に価値づくりは宿る

少し前、某美術館の売店でこんな話を耳にした。 「価値をつくるって、アートと同じなんですよ」。

アーティストになることを挫折し、経営者として成功した人がいるという。 しかも、最初はその美術館の売店でアルバイトをしていたらしい。 そういう人が、一人ではなく何人もいると聞いて驚いた。

そのエピソードを聞きながら、 価値をつくるという行為は肩書きではなく、 「物との向き合い方」に宿るのだろうと思った。

商いの地図は、まだ描き途中にある

倉庫・発送・プラットフォーム。重い課題ほど、形になる余地がある

店舗運営が文化としてあまり根付いていない福岡で、 この仕事を続けるのは、正直に言えば簡単ではない。 だからこそ、ネットをどう使うかが問われる。 どの場所を拠点にし、どのプラットフォームで、 どんな速度で物を動かしていくのか。

倉庫と発送の問題は、相変わらず重くのしかかっている。 それでも、重いからこそ、向き合い続ければ形になるとも思う。

今日は古書に関する情報を読み漁りながら、 その合間に出品作業を淡々と進めている。

テーブルの上には、オークションハウスのカタログ、 経理の資料、開きっぱなしのパソコン。 飲み終えたペットボトルの横に、 美的なものが無造作に散りばめられている。

完璧に整っているわけではないのに、妙に落ち着く。 こういう雑然さのなかに、 仕事の温度と生活の気配が同居している。

市場は広いのに、価値はどこかで眠っている

PHOTOGRAPHY ANNUAL:見応えがあるのに、驚くほど安い

PHOTOGRAPHY ANNUAL。 当時のスターフォトグラファーの作品が詰まった一冊が手元にある。

ページをめくるたびに、時代の光と空気が立ち上がってくるようで、 見応えは十分にある。 にもかかわらず、市場では驚くほど安い。

そもそも、ほとんど知られていない。 「知られていない」というだけで価値が埋もれてしまう現実は、 この仕事の醍醐味であり、 同時に、静かな歯がゆさでもある。

在庫をどう回していくかを考えると、 重心は少なくとも関西か名古屋に置くべきだと感じている。

神保町界隈は、ビジネスとしても文化としても魅力的だ。 けれど、なにせお金が掛かる。 市場への出し入れで最初につまずくと、 そのあとに組み立てたい流れが崩れてしまうのは目に見えている。

私が向かいたい場所は、最終的にはアート界隈だ。 古書も家具も、そのための媒介だと考えている。

大切にしている二つ:対話すること/物が行き先を決める感覚

どれほど戦略を積んでも、最後の一押しは物の側が担ってくれる

そこで大切にしているのは、二つだけ。

  • 対話すること
  • 物が行き先を決める、という感覚を信じること

どれほど戦略を積み上げても、最後の一押しは物の側が担ってくれる。 だから、ひらめいたことは何でも試してみたいし、 楽しそうだと感じたことは、できるだけ自分から動いていきたい。

やってみたいことは、まだいくつもある

目録販売/ウェブ非掲載の静かな提案/即売会(POP UP)

目録販売は、まだ取り組んだことがない。 だからこそ、一度やってみたい分野でもある。

ウェブにはあえて載せていない、 お客様へ直接提案したいアイテムがいくつも眠っている。 そうした品を、限られた人にだけ静かに届けることは、 古書商ならではのささやかな贅沢だと思う。

即売会(POP UP)にも興味がある。 利益を最大化するため、というよりも、 単純に「楽しそうだ」と感じているからだ。

一度くらいはやってみたい。 準備の段階から、古書の先生にも相談しようと思っている。

遠くの雷音:区切りとしての余韻

夏と秋の境目のような、低く長い響き

そんなことをあれこれ考えていたら、 遠くの空から雷音が聞こえてきた。 夏と秋の境目のような、低く長い響き。

そろそろ、今日のところはこのあたりで。

価値は、見つけるのではなく、起こしていく。


この記事について

本記事は、選品舎/Helvetica を運営する大西健が執筆しています。
ヴィンテージ家具・古書の選品、販売、記録を通じて、
「残るもの/残らないもの」の判断基準を実務の中で整理しています。
この判断軸の全体像は、残るものを選ぶという行為についてに記録しています。


ブログは、ふたつの棚に分かれています。

いまの気分に近いほうから、お進みください。

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