コーヒーカップの選び方:味覚を最大限に引き出すために ネルドリップの奥深さについて、コーヒーマイスターの平田隆文先生に学ぶ
ネルドリップの奥深さとその歴史
平田隆文先生は、日本で初めてコーヒーマイスターの称号を得た方であり、ネルドリップの魅力について情熱的に語ってくださいました。ネルドリップは18世紀にフランスのベ・ドロワーによって考案され、以来、特に日本において愛され続けています。特に京文化の影響を受けた日本人は、澄んだ珈琲を好む傾向があり、透過法によって抽出される澄んだ珈琲が日本の珈琲文化に根付いているとのことでした。
透過法は、コーヒーを抽出する方法の一つで、お湯をコーヒーの粉の上から注ぎ、コーヒー液をフィルターで濾して抽出する方法です。日本では特にペーパードリップやネルドリップといった方法が透過法の代表的な例として知られています。
この方法では、お湯がコーヒーの粉を通過し、フィルターを通して澄んだコーヒーが抽出されます。透過法の特徴として、フィルターを使用することで、コーヒーに含まれる微細な粉や油分が除去され、クリアで澄んだ味わいのコーヒーが楽しめる点が挙げられます。また、抽出時のお湯の温度や注ぐ速度によっても味が変わるため、繊細なコントロールが求められる手法です。
一方、浸漬法は、コーヒーの粉をお湯に浸けて抽出する方法で、フレンチプレスがその代表です。この方法では、コーヒーが長時間お湯に触れているため、より濃厚で、微細な粉や油分が含まれたコーヒーが出来上がります。
ネルの素材と手入れの重要性
ネルドリップで使用するフィルターは、パジャマと同じ綿素材で作られており、外側が毛羽立っているため、内側にサラサラとした感触を感じます。この毛羽が目詰まりを防ぎ、澄んだ珈琲を抽出するために不可欠です。新品のネルは白いため、インスタントコーヒーなどであらかじめ珈琲色に染めてから使用すると良いそうです。
ネルドリップのフィルターを使用する際には、フィルターの外側に毛羽だった面を配置するのが一般的です。
さらに、ネルは一度使ったら水に浸け、乾燥させずに冷凍保存することで、油分を劣化させず、柔らかな味わいを保つことができます。乾燥させるとネルが硬くなり、珈琲の味に影響を与えてしまいます。
正しい珈琲の抽出方法
平田先生は、珈琲を淹れる際には、向かい合う気持ちが大切だと強調されました。抽出の最初の1/3が特に肝心であり、その後にお湯を加えても味わいは変わらないとのこと。88度のお湯を使って抽出し、提供時には68度まで冷ますのが理想的だと教えてくださいました。
また、豆を蒸らす際には素早く行い、その後にゆっくりとお湯を注ぎ、豆がしっかりと膨らむことが重要です。差しては止め、差しては止めを繰り返すことで、最適な味わいを引き出すことができます。
コーヒーカップと味わいの関係
珈琲を楽しむためには、カップの形状も重要です。平田先生は、口の広がり方によって味わいが変わることを教えてくださいました。口が広がったカップは酸味を、すぼまったカップは異なる味わいを感じやすく、マグカップはその中間で両方の味を感じやすいとのことでした。以下の文章でまとめましたので、よかったらご覧ください。
コーヒー文化への洞察
平田先生は、珈琲文化を単なる飲み物としてではなく、人生の一部として捉える姿勢を持たれています。珈琲から教わることは多く、命を大切にする姿勢や、流されずに物事を見つめる大切さを学びました。道具を身体の一部として使い、疲れない持ち方をすることも、珈琲を淹れる際には重要だと強調されました。
平田先生の教えは、珈琲を深く味わい、楽しむための貴重な知識であり、参加者一同が感銘を受けました。このワークショップを通じて、私たちは珈琲文化の奥深さを再確認し、日々の珈琲をより一層楽しむための知恵を学ぶことができました。
「コーヒーを楽しむには、カップ選びが重要な要素になることをご存知ですか?」
実は、カップの形状や素材によって、コーヒーの味わいが変わることがあります。今回は、味覚部分とカップ選びの関係について詳しくご紹介します。
1. 舌が感じる味覚のマッピング
舌には、味を感じるための特定のエリアがあり、各エリアで異なる味覚を強く感じるとされています。具体的には、舌の先端は甘味を、舌の両側は塩味や酸味を、舌の奥は苦味を感じやすいと言われています。
この味覚マッピングは、コーヒーをどのように味わうかに大きく影響します。例えば、甘味をより楽しみたい場合は、コーヒーが舌の先に届きやすいカップを選ぶとよいかもしれません。また、苦味を強調したい場合は、舌の奥にコーヒーが流れるような形状のカップを選ぶことで、その味わいを引き出すことができます。
2. カップの形状と味覚の関係
カップの形状は、コーヒーが口の中にどのように流れ込むかに直接影響を与えます。例えば、口がすぼまっているカップは、コーヒーが口内の奥に向かって流れやすくなり、特に苦味や深いフレーバーを強調します。このような形状のカップは、エスプレッソや深煎りのコーヒーに適しているとされています。
一方、広がった口のカップは、コーヒーが舌全体に広がり、よりバランスの取れた味わいを提供します。このタイプのカップは、酸味や甘味を強調するために最適で、浅煎りのコーヒーやフルーティーなフレーバーを楽しむ際におすすめです。さらに、カップの縁の厚さも影響します。薄い縁はより繊細な味わいを引き出し、厚い縁はより重厚感のある味わいを楽しめます。
3. 素材の違いがもたらす効果
カップの素材も、コーヒーの味わいを左右する重要な要素です。陶器や磁器は、保温性に優れているため、コーヒーの温度を長時間保つことができます。これにより、温かいコーヒーをゆっくり楽しむことができ、香りや風味がしっかりと感じられます。特に磁器は、カップ自体が薄く、飲み心地が滑らかで、繊細な味わいを引き出すのに適しています。
ガラスのカップは、その透明感が特徴で、コーヒーの色を視覚的にも楽しむことができます。また、ガラスは温度を伝えやすく、冷たいコーヒーやアイスコーヒーを楽しむ際に最適です。一方、ステンレスや金属製のカップは、保温性が高くアウトドアなどに適していますが、金属の風味がコーヒーに影響を与えることがあるため、選ぶ際には注意が必要です。
4. 最後に
自分に合ったコーヒーカップを選ぶことで、毎日のコーヒータイムがより豊かになり、コーヒーを味わう楽しみが増します。カップの形状や素材を工夫することで、コーヒーの味わいが大きく変わることを実感できるはずです。
ぜひ、いろいろなカップを試してみて、自分の好みにぴったりのカップを見つけてみてください。それぞれのカップには、それぞれの特徴があり、コーヒーの楽しみ方を広げてくれるでしょう。