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記録: チェアマニアに捧ぐ!永井敬二さんの「椅子コレクターの半世紀」

チェアマニアに捧ぐ!永井敬二さんの「椅子コレクターの半世紀」

チェアマニアに捧ぐ!永井敬二さんの「椅子コレクターの半世紀」

永井敬二さん(インテリアデザイナー)

1948年、佐賀県唐津市生まれ。
福岡〈岩田屋インテリア〉を経て、82年にデザインスタジオ〈ケイアンドデザインアソシエイツ〉設立。モダンデザインのコレクターとして国内外に知られ文化交流に貢献。デンマーク王国より「Furniture Prize」受賞。モダンデザイン展への出品多数。

「コレクターと思ったことはない。」
その言葉に本質がある気がしました。
彼の職業はインテリアデザイナーです。

「椅子コレクターの半世紀」と題される講師を務められたのは、コレクターなら誰しもがご存知であろう永井敬二さん、その人です。彼は唐津出身で世界でも指折りの椅子のスーパー蒐集家としても知られています。椅子に限らず陶磁器やガラス、家電製品まで広範囲にわたって集められてるのだとか。

加えて、初めて知ったのですが鍵盤というジャンルも蒐集されているそうです。有名無名(アノニマスという言葉を使用されてましたね。人が発する言葉のはしばしに人間性が感じられるので、耳に響きました。)
問わず琴線に触れれば蒐集の対象になるそうです。もちろん経済的に許せばとも付け加えられてました。
なんともチャーミングな一面も感じられます。お気持ちとっても分かります。

そんな2時間余りの講義を皆様にもお福分け出来ればと思いから、こちらに記載しようと思います。

この講義の出発は永井さんの原体験からのお話でした。幼児の頃から叔父より千利休の話を聞かされたことや洋々閣の話などなど細かな話は割愛しますが、小さい頃から家庭画報や暮らしの手帖の切り抜きなどもされていたのだとか。もちろん、住まいに関する切り抜きだそうです。共感を覚えますよね、誰しも1度は取り組む作業って感じがします。

この講義は永井さんがインテリア会社の寮で暮らしていた頃の住まいの写真などたくさんスライドを流しながら進められ大変に興味深いものでした。

寮で暮らされていた永井敬二さん当時20代はモダン椅子に興味を持つ以前だったそうで、ベットや収納箪笥などご自身で設計デザインされたものをオーダーされてたそうです。
残念ながら写真についてはスダイドのみだったのでこちらには添付できないのですが、氏の感性は当時からモダンだったんだなぁ、と感じる写真の連続でした。その空間が今に残っていても全く古さを感じさせないことを思えば、当時から美的センスに溢れていたのかと感嘆するほどです。

 

その後に30年近く住まわれた長屋の住宅の写真や現在のお住まいの写真も合わせてスライドされてました。
どの椅子と、どの椅子を組み合わせると空間とも相性が良いのか。ベットの配置も定るまで変えてみたりと、まさに実験という言葉ふさわしいような。コーディネイトと申しましょうか、洋服に於けるフィッティングに近い感覚のことを長年に渡ってされてことが伝わってきました。

どこをどう切り取って書くべきか、書くと不味いだろうなってこともあるのでまとめるのは至難の技ですね、ペン先がくるくる空回りします。

僕も同様に感じていたこと。何らかのコレクションをされている方ならご納得なお言葉がありましたので、幾つか綴りたいと思います。

モノを通じる出会いが面白い。「モノは縁です。」って語られてました。物々交換で得たものもあれば、月賦で買われた椅子など。集められてきた1点1点にストーリーがあるそうです、聞きたい作品の話が沢山ありますね。1点ものというよりも誰しもが当時買えたマスプロダクトに興味があるんだとか。

「モノはコミュニケーションツール」だとお話されておりました。僕自身もとても理解することですが、モノを通じて様々な方々と交流することができるのです。現代はインターネットの時代ですが、永井さんのモノ蒐集の始まりはFAX以前の手紙の時代です。輸送コストの話もして下さいましたが、今と比べても割高であの熱量を想像するだけでも右に出る方は居ないだろうとつくづく感じます。

いまでも国内外へクリスマスカードを送り続け、お相手からもウイットに富んだ反応があるそうです。
エンツォ・マリさんからは送ったクリスマスカードハガキを、ミニチュアの紙椅子やパズルに変身させ
永井さんの元に届けられる。なんて芸術的エピソードもお話くださいました。
アートピースですね、いやはや目が輝いて参ります。

 

書き進めると止まりません。

近年のプロダクト高騰についてや60年代に日本人がモノを買うことの難しかった話など。
それらの内容はまた後日に記載しようと思います。
シャンシアの話にも触れられてましたが、僕も同様に思っています。
気になるかたはシャンシア(エルメス、中国、家具)この辺りのキーワードで検索されると良いかと思います。

最後にこのブログを読んでいただいた方も共通の質問があると思います。
「コレクションを今後美術館にする計画はないのですか?」ってこと。

きっぱりと「ない。」と言われていました。コレクションに興味を持ってくれる方などに対しては、それを得た経緯など伝えることが出来るサロン的な環境ができるといいですね。とも仰っておられました。

僕自身も気になる人には時間が許せば会いにいくのですが、そんな中でも今回の講義を記事にしようと思ったのは、彼の熱量に伝播されたことが要因なのかもしれません。

今後は今までにお会いした著名な作家さんやギャラリストの話も書こうかと思う次第です。

今回は特に長文になりましたが、ご一読いただきましたこと有難く思います。

追記もしますので、このページは大切に管理しようかな。とも思います。
良い機会を与えてくださいました、唐津の皆様に感謝を申し上げます。

唐津伝統文化サロン「椅子」
平成28年9月11日(日)14:00~16:00

【講 師】永井 敬二 氏(デザイナー・コレクター)
【聞き手】城谷 耕生 氏(デザイナー)
【内 容】椅子コレクターの半世紀
【会 場】旧唐津銀行

主催:唐津文化遺産の日プロジェクト実行委員会
後援:唐津市

永井敬二の世界—1000脚の椅子


『変える。エンツォ・マーリと“栗の木プロジェクト”』展
―永井敬二コレクションより―2019年4月4日(木) ― 7月21日(日)

「キッチンハウス」永井敬二さんと一緒にメゾンを見学!


この記事について

本記事は、選品舎/Helvetica を運営する大西健が執筆しています。
ヴィンテージ家具・古書の選品、販売、記録を通じて、
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