





デ・ステイル De Stijl|新造形主義の芸術と環境|モンドリアン・リートフェルト・ドゥースブルフ
1917年にオランダで始まった芸術運動「デ・ステイル」の活動を総覧する展覧会図録。
テオ・ファン・ドゥースブルフ、ピート・モンドリアン、ヘリット・リートフェルト、ジョルジュ・ファントンゲルロー、ロバート・ファント・ホフらによる絵画、彫刻、家具、インテリア、建築、機関誌など約250点を収録しています。
直線、直角、三原色、白、黒、灰色。
デ・ステイルは造形要素を極限まで整理し、絵画の内部で生まれた新造形主義を、家具、建築、都市、生活環境へと展開しました。
本書は、モンドリアンの抽象絵画やリートフェルトの家具を個別に紹介するだけではありません。平面上の構成がどのように空間へ移され、生活を形づくる環境へ発展したのかを、作品と論考の両面から検証しています。
特徴
全体は、絵画と彫刻、リートフェルトの家具・インテリア・建築、環境と建築、雑誌とメディア活動という四つの領域を軸に構成されています。
モンドリアンの絵画から、リートフェルトの椅子とシュレーダー邸、ドゥースブルフによる建築と雑誌『デ・ステイル』までを横断して収録。
作品図版に加え、図面、建築模型、家具、室内空間、タイポグラフィ、機関誌などを掲載し、デ・ステイルが芸術運動であると同時に、生活環境全体を組み替える構想であったことを示します。
ニコレッタ・ハースト、新見隆、宮島久雄、中沢新一、安藤忠雄、柏木博、隈研吾らによる論考を収録。デ・ステイルと日本建築の関係についても考察されています。
この本が残した視点
デ・ステイルが目指したのは、特徴的な色や幾何学模様をつくることではありません。
個人の感情や自然の外観を造形から取り除き、線、面、色の関係によって、誰にでも共有できる秩序をつくろうとしました。
絵画の中で整理された水平線と垂直線は、やがて椅子の構造となり、壁と床の関係となり、建築空間へ広がっていきます。
一枚の絵と一脚の椅子、一軒の住宅を、別々のものとして扱わない。
それらを人間が生きる環境の一部として捉え、同じ原理によって再構成する。この領域を横断する姿勢が、デ・ステイルの最も重要な遺産です。
書誌情報
・タイトル:デ・ステイル De Stijl: Art and Environment of Neoplasticism
・編集:セゾン美術館、東京新聞
・発行:セゾン美術館、トレヴィル
・刊行年:1997年
・言語:日本語
・装丁:ソフトカバー
・ページ数:305頁
・サイズ:約29.6 × 22.1cm
・収録作品:約250点
・冊数:1冊
目次
・ごあいさつ
・メッセージ
・序 零のモダニズム/新見隆
・モダンの空間を創ったデ・ステイル/宮島久雄
・デ・ステイル年表/一條彰子 編
・デ・ステイルの性格づけ/新見隆
・抽象と具象の闘い/安藤忠雄
・ドゥースブルフによるモダンデザインの原理/柏木博
・純粋な、動いていく無/中沢新一
・新しい生の構築者ドゥースブルフ/エバート・ファン・ストラーテン
カタログ
- デ・ステイル:絵画と彫刻
- デ・ステイル:リートフェルトの家具、インテリア・デザインと建築
- デ・ステイル:環境と建築
- デ・ステイル:雑誌とメディア活動
・デ・ステイルと日本―日本における新造形主義建築の行方/奥佳弥
・「淋しげな平和」/隈研吾
・主要参考文献
状態
中古品(並)。
経年によるスレ、ヤケ、汚れなどがあります。
本文は通読および図版の鑑賞に概ね支障ありません。
古書であることをご理解のうえ、掲載写真もあわせてご確認ください。
迎える理由
選定理由:
デ・ステイルをモンドリアンの絵画やリートフェルトの家具だけに限定せず、建築、室内、雑誌、メディア活動まで含めて把握できるため。
比較した視点:
個別の作家や代表作を扱う作品集に対し、本書は平面上の新造形主義が家具、建築、生活環境へ展開していく過程を体系的に収録しています。
判断の結論:
20世紀美術、近代建築、家具、グラフィックデザインを分断せず、共通する造形思想から読み解くために残すべき図録です。
形を減らすことは、表現を乏しくすることではありません。
残された線、面、色の関係を、より明確にすること。
デ・ステイルが示したのは、装飾を加える前に、世界を構成する秩序そのものを見直すという判断です。
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