カート
カートが空です
1973年、写真評論社より刊行された、写真家・稲越功一の写真集『meet again』。
1971年の『Maybe, maybe』に続く初期の代表的な仕事のひとつで、東京都写真美術館の回顧展でも主要シリーズとして取り上げられた作品です。
モノクロームの写真を中心に構成され、明確な出来事を説明するというよりも、断片的な像を連ねながら、見る側の記憶や感覚へ働きかけていく一冊。
写真だけで完結するのではなく、木沢邦によるデザイン、草森紳一・桑原甲子雄によるエッセイを含め、一冊の本として構成されています。
刊行部数は限定600部。
今回の個体には、見返しに稲越功一自身の署名・書入れが残されています。
半世紀以上を経た現在では、写真作品そのものだけでなく、1970年代初頭の日本の写真表現とブックデザインが交差した出版物として見ておきたい一冊です。
『meet again』は1973年に刊行された稲越功一の初期写真集です。
文化庁による写真原板アーカイブの調査では、『Maybe, maybe』『meet again』『記憶都市』が稲越功一の主要シリーズとして挙げられています。また東京都写真美術館による回顧展でも『Meet Again』は主要作品群のひとつとして展示されました。
海外の写真集専門店では、本書を38点のモノクロ写真によって構成された作品集として紹介しており、初版・限定600部であることも確認されています。
大部数で流通する写真集とは異なり、残存する一冊一冊の状態や来歴まで含めて価値を見るべき本です。
本個体には稲越功一の署名・書入れがあり、その意味でも通常個体とは異なる一点です。
写真は、何かを説明するためだけにあるのではない。
『meet again』に収められた写真には、出来事の全体ではなく、その途中に落ちていたような断片が残されています。
人の身体、街の一角、物の表面。何を見ているのかが明確になる前に、写真は次の像へ移っていく。
そこにあるのは、記録というよりも記憶に近いものです。
すべてを説明せず、断片のまま残すこと。そして、見る人の中で再び像がつながること。
「meet again」というタイトルは、写真を見るという行為そのものにも重なります。
一度見たものと、時間を経てもう一度出会う。
この本が残したのは、そんな写真との距離の取り方なのかもしれません。
・タイトル:meet again・写真:稲越功一・デザイン:木沢邦・エッセイ:草森紳一、桑原甲子雄・出版社:写真評論社・刊行年:1973年・仕様:ハードカバー/カバー付・サイズ:約22 × 24cm・ページ数:92頁・限定:600部・付属・特記事項:見返しに稲越功一署名・書入れあり
経年によるヤケ、シミ、スレが見られます。
・カバー:経年によるヤケ・シミ・スレあり・本体:経年によるヤケ・シミあり・本文:経年によるヤケ・シミあり・見返し:稲越功一の署名・書入れあり
1973年刊行の古書として相応の経年変化があります。
特にカバーおよびページ余白にはシミが確認できます。掲載写真にて状態をご確認ください。
選定理由:稲越功一の初期を代表する写真集であり、限定600部という希少性だけでなく、写真・文章・ブックデザインを一体として見ることのできる一冊だから。
比較した視点:単なる署名本としてではなく、作品史上の位置、刊行部数、造本、個体固有の書入れまで含めて判断しました。
判断の結論:選品舎で残すべき写真集です。
市場価格だけで見れば、同書には通常個体も存在します。現在の日本の古本屋でも通常個体や献呈署名入個体が確認でき、状態・署名・来歴によって価格差があります。
しかし、本書を選ぶ理由は希少性だけではありません。
写真がデジタルデータとして無限に複製できる現在から振り返ると、600冊という有限の器の中に写真作品を定着させた1973年の出版物そのものに意味があります。
そこに、稲越功一自身の筆跡が残っている。
作品と物質がまだ切り離されていなかった時代の写真集として、残しておきたい一冊です。
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