





マルセル・デュシャン|遺作 Étant donnés 制作マニュアル|Manual of Instructions for Étant Donnés 1987
作品を見ることと、その作品が「どのようにつくられたのか」を知ること。
マルセル・デュシャンの《Étant donnés(遺作)》において、その二つはほとんど切り離すことができません。
本書『Manual of Instructions for Étant Donnés』は、デュシャンが作品の組み立てと設置のために残したマニュアルをもとに構成された資料集です。
制作途中の写真、手書きによる指示、図版などを収録し、《Étant donnés》という作品が、どのような構造を持ち、どのような手順によって組み上げられたのかをたどることができます。
完成した作品だけを提示するのではなく、その背後にある構造、工程、指示までもがひとつの資料として残されている。
デュシャンという作家を考えるうえで、非常に興味深い一冊です。
黒い革張りを思わせる表紙に、タイトルを記した帯。
書物というよりも、何かひとつの作品を収めたケースのような佇まいがあります。
特徴
《Étant donnés》は、デュシャンが晩年に長い時間をかけて秘密裏に制作した作品として知られています。
本書で見ることができるのは、完成した作品の記録だけではありません。
写真、図解、手書きの指示などを通して、作品を成立させている裏側の構造まで見ることができます。
「作品とは何か」という問いを繰り返してきたデュシャンが、その最後に残した作品を、完成形とは別の角度から読み解くための資料でもあります。
美術史やデュシャン研究の資料としてはもちろん、コンセプチュアル・アート、展示設計、作品の保存や再構築、アーティストブックに関心のある方にも。
本冊に加え、別冊子と帯が付属しています。
このアイテムが似合う暮らし
これは、気軽に読み流すための美術書というより、手元に置いて何度も開きたくなる資料です。
デュシャンの作品集の隣に置く。
現代美術や建築、デザインについて考える机のそばに置く。
あるいは、黒い表紙そのものをひとつのオブジェのように本棚へ収める。
完成したものだけではなく、その背後にある思考や構造に惹かれる方に残したい一冊です。
書誌情報
・書名:Manual of Instructions for Étant Donnés
・著者:Marcel Duchamp
・出版社:Philadelphia Museum of Art
・刊行年:1987年
・言語:英語
・装丁:ハードカバー/革張り風表紙
・サイズ:約303 × 270 mm
・付属:帯・別冊子
・ISBN:3888142601
状態
経年古書です。
表紙にはわずかなスレ・キズが見られます。
帯には経年によるヤケ、ヨゴレ、シワがあります。
本冊内部は書き込みなども見られず、年代を考慮すると概ね良好な保存状態です。
別冊子も付属しています。
状態については掲載写真もあわせてご確認ください。
迎える理由
選定理由:
デュシャンの作品を紹介する一般的な作品集ではなく、《Étant donnés》がどのようにつくられ、どのように組み立てられるのかという、作品の「裏側」そのものを記録した資料であること。
比較した視点:
作品写真の美しさだけではなく、一次資料に近い記録性、デュシャン研究における位置づけ、そして本という物体として残しておく価値を見ました。
判断の結論:
完成した作品を見るためだけの本ではありません。
写真、図面、指示、工程。
通常なら作品の背後へ消えてしまうものが、この一冊には残されています。
デュシャンが最後に残した謎めいた作品を、正面からではなく、その構造の内側から見る。
そのための一冊として、残しておきたい資料です。
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