



芳木麻里絵「sakubu-yoshi」2006年|シルクスクリーン・作品証明書付
規則正しく並ぶ、オレンジ色の細い線。
遠くから見ると一枚の原稿用紙のように見えますが、近づくと、線は完全に均質ではありません。
ところどころにインクの揺らぎや盛り上がりがあり、刷られたものとしての痕跡が残されています。
芳木麻里絵による「sakubu-yoshi」。
2006年に制作された、紙にシルクスクリーンによる作品です。
芳木はシルクスクリーンという複製のための技法を用いながら、インクを重ねることで、平面の中に厚みや物質性を生み出す制作を続けてきた作家です。
本作が制作された2006年は、芳木が京都精華大学芸術学部造形学科版画コースを卒業した年でもあります。
後年の作品へと続いていくシルクスクリーンという技法と、反復される線、インクそのものへの意識。
その初期の仕事を伝える一作として捉えています。
特徴
画面を構成しているのは、原稿用紙を思わせる格子状の線です。
しかし、均一な印刷物のように見えて、近くから見るとインクにはわずかな厚みと不均一さがあります。
規則と揺らぎ。
複製と手仕事。
平面と物質。
限られた要素だけで構成されていますが、見る距離によって印象が変わります。
白い紙と淡いオレンジ色という抑えられた構成も、この作品の静けさにつながっています。
この作品が残してきたもの
今回の作品には、作品そのものだけではなく、購入当時のサイ・ギャラリーからの送り状と、芳木麻里絵本人による手作りの作品証明書が残されています。
前所有者のもとで長く保管され、作品とともにこれらの資料も失われることなく残ってきました。
作品証明書は市販の証明書ではなく、作家自身が用意した小さな手製のものです。
作品が制作され、ギャラリーから一人の所有者のもとへ渡り、約20年を経て現在まで残ってきたこと。
作品だけでは見えない、その時間まで一緒に受け継がれている個体です。
このアイテムが似合う暮らし
強い色彩や大きなモチーフで空間を支配する作品ではありません。
白い壁、木の家具、余白のある空間。
そうした静かな場所に一点置くことで、線とオレンジ色がわずかな緊張をつくります。
デスクや書棚の近く、小さな壁面、家具と家具の間など、作品の周囲にも余白を残して掛けたい一作です。
素材・サイズ
作家:芳木麻里絵(YOSHIKI Marie)
作品名:sakubu-yoshi
制作年:2006年
技法:シルクスクリーン・紙(silk screen print on paper)
イメージサイズ:約 25 × 35.5cm
額サイズ:約 32.5 × 43cm
額装:浮かせ額装
エディション:不明
額装者:不明
※イメージサイズは額装された状態でガラス越しに計測しているため、若干の誤差があります。
付属品・来歴
・芳木麻里絵本人による手作りの作品証明書
・購入当時のサイ・ギャラリーからの送り状
・額装
サイ・ギャラリーから前所有者が購入し、その後長く保管されてきた作品です。
※送り状について、個人情報が記載されている場合は、購入者へ渡す範囲を確認したうえで付属させます。
状態
額装された状態で長く保管されてきた作品です。
作品には経年による変化が見られる可能性がありますが、現在の状態については掲載写真をご確認ください。
額にも保管・経年に伴うわずかな使用感があります。
作品証明書および購入時資料も残っています。
ヴィンテージ作品・既存額装品であることをご理解のうえ、ご検討ください。
迎える理由
選定理由:
最初に惹かれたのは、遠くから見たときの静けさと、近づいたときに現れるインクの物質感でした。
原稿用紙という極めて日常的な形式を思わせながら、それをシルクスクリーンによって一つの平面作品として成立させています。
比較した視点:
芳木麻里絵は、その後もシルクスクリーンを用い、インクを重ねながら平面と立体、イメージと物質の境界を探る制作を続けています。
本作は2006年制作。後年の作品と同じものとして見るのではなく、その後につながっていく技法と視点がすでに現れている、早い時期の仕事として見ました。
判断の結論:
作品そのものに加えて、サイ・ギャラリーから購入された際の資料と、作家本人による手作りの作品証明書まで一緒に残っています。
誰が作ったのか。
どこから渡ってきたのか。
そして、どのように残されてきたのか。
その背景まで失われずに受け継がれていることを含めて、残す価値があると判断しました。
作家について
芳木麻里絵|YOSHIKI Marie
1982年生まれ。
2006年、京都精華大学芸術学部造形学科版画コース卒業。
2008年、京都市立芸術大学大学院美術研究科修士課程修了。
シルクスクリーンを主要な技法とし、インクを繰り返し刷り重ねることで、平面でありながら物質的な厚みを持つ作品を制作しています。
複製のための技法であるシルクスクリーンを、むしろ一つの物質をつくるための方法として扱う。その制作は、版画、絵画、立体という区分そのものを静かに横断しています。
発送について
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