






沖縄の古陶|やちむんと琉球陶器の美をたどる図録・資料集
沖縄の焼物には、不思議な力があります。
民藝とも少し違う。
中国陶磁とも違う。
朝鮮の器とも違う。
けれど、それらすべてがどこかで混ざり合いながら、沖縄にしか存在しない造形へと辿り着いています。
本書『沖縄の古陶』は、琉球王国時代から受け継がれてきた沖縄の焼物文化を体系的に紹介した資料集です。
酒甕、壺、厨子甕、茶器、日用品。
暮らしの中で使われてきた器の数々が、美しい図版とともに収録されています。
特に印象的なのは、その自由さです。
均整を求めすぎない。
釉薬は流れ、形は揺らぎ、焼成によって偶然が生まれる。
にもかかわらず、完成した器には強い存在感があります。
それは沖縄という土地が持つ風土や歴史が、そのまま焼物に刻まれているからかもしれません。
視点
- 中国・東南アジア・日本文化が交差して生まれた琉球陶芸
- 民藝運動以前から存在した沖縄独自の生活道具の美
- 酒甕や厨子甕に見る沖縄特有の暮らしと信仰
- 釉薬の流れや焼成痕を積極的に受け入れる造形感覚
- 現代のやちむん作家へ続く源流としての古陶
書誌情報
・タイトル:沖縄の古陶
・出版社:観宝堂
・刊行年:2002年
・装丁:ソフトカバー
・サイズ:240 × 260mm
・ページ数:179ページ
状態
表紙・本文ともに概ね良好です。
鑑賞・通読に支障のないコンディションです。
迎える理由
選定理由:
沖縄の古陶を体系的かつ豊富な図版で紹介しており、資料性と鑑賞性を兼ね備えているため。
比較した視点:
一般的なやちむん入門書と比較し、本書は古陶を中心に据え、歴史的な流れや器種の変遷まで確認できる点を評価しました。
判断の結論:
沖縄陶芸を深く知りたい方はもちろん、民藝や東アジア工芸に関心のある方にもおすすめできる一冊です。
個人的には、沖縄の古陶には民藝という言葉だけでは説明できない魅力があります。
豪放で、素朴で、どこか異国的。
整いすぎないからこそ美しい。
器として見ても面白いのですが、空間に置かれたときの存在感はさらに格別です。
沖縄の焼物を好きになる入口としても、長く参照する資料としても楽しめる図録だと思います。
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