
静けさを、暮らしの中へ。|選品舎 Helvetica 公式ブログ
ブログには、ふたつの種類があります。
目的や気分にあわせて、お好きなほうをお選びください。
―― たった一行のために、私は500点のページを消しました。
2025年の春、私は思い切って500点を削除しました。選品舎という場所を、私はこれまで、商品の一覧ではなく、 まるで私設の美術館のように扱ってきました。
語るように並べ、祈るように掲載し、 流れ込んでくるアクセスの波に静かに耳を澄ませながら、 ただひたすら、“良いものを残す”ということに全力を尽くしてきました。
けれど、あるときふと、気づいたんです。
買えない商品が検索に出てくることは、誰のためになるのか?
そのページを開いた人は、ほんの少しがっかりして、 そして、静かに離れていくのではないか。
私は自分の知識や感動を、ただ残しておきたかったのかもしれない。 けれどそれは、きっと“私たちのエゴ”でしかなかった。
だから、今回はサーチコンソールも見ず、 数字も見ずに、感覚だけで削除しました。
手が止まるたびに、静けさとは何かを考え続けました。
削除していく中で、ふと「これは残してもいいのでは」と迷ったページもありました。 でも、静けさという言葉が、本当に暮らしの中に届くには、 中途半端な優しさでは届かないこともある。そう思いました。
だから、500点以上のページを、静かに手放しました。
それでも、怖くなかった。 なぜなら、私にはこの言葉があったから。
静けさを、暮らしの中へ。
この言葉を真実にするために、削ぎ落とした。 このコピーを「意味ある言葉」として、生きさせるために。
そして今、ようやくその準備が整いました。
これから並ぶ商品たちは、 売るためにあるのではなく、語るためにある。
数ではなく、声。 派手さではなく、余白。
流行ではなく、呼吸として暮らしに溶けていく品々。
選品舎のこれからは、そんな“静かな選び”を、 あなたの暮らしへとそっと届けていきます。
どうぞ、ここからの静けさを、受け取ってください。
——この静けさの中に、あなたの暮らしが息をしはじめますように。
静けさを、暮らしの中へ。
Helvetica(選品舎)
大西健
読みものを楽しむ:
次回予告
来週木曜日(5月16日)は、
**「意味の手触り|選ぶことは、想像力を手渡すこと。」**をお届けします。
日々ふれている“選ぶ”という行為の奥にある、
ことばの温度と、モノの質感。
静けさの先にある、もう少し深いところへ。
→ 読む準備をしておく
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