
オルーチェ「クーペ」を、どこまで直すか|ジョエ・コロンボのランプ
次に持つ人が、どこまで直すかを決めればいい。古いものを販売するとき、そう考えてきました。
けれど、長らく放置していたオルーチェ(Oluce)のフロアランプ「クーペ(Coupé)」を分解しているうちに、自分で使ってもいいのではないかと思い始めました。ジョエ・コロンボがデザインした、好きな照明です。
そうなると、次の人に残していた判断が、自分に戻ってきます。この一台を、自分ならどこまで直すのか。今、その途中にいます。

好きな照明を、ずっと放置していた
いつから置いたままだったのか。今年だったか、去年だったか。そのあたりも、少し曖昧です。
欠品している部品があり、支柱には損傷がある。完全に二つに折れているわけではないものの、曲がっている。そして、点灯しない。
光源を固定するネジは、自分で作ったり補修したりして対応できるものではなく、メーカーに注文しました。そこまで進めて、またしばらく置いたままに。分解に必要な工具が足りなかったことも、その理由でした。
最近ようやくホームセンターで、六角ナットを外すための工具を買いました。分解して確認すると、点灯しない原因はスイッチにありました。今は、交換用のイタリア製スイッチを注文して、届くのを待っています。
ばらばらのまま保管してもよかったのですが、また時間が空くと組み方を忘れそうなので、一度元の姿に組み直しました。点灯の確認はできたものの、スイッチの交換と支柱の対応はこれからです。
照明は好きです。それなのに、部品を頼んだところで止まり、工具がないところでまた止まっていた。大切にしていた、と言うには、放置していた時間が長い気もします。
外観に手を加えない理由
選品舎では、塗装の剥がれや欠けを、できるだけそのまま伝えて販売してきました。補修をしたこともありますが、外観を変えることには慎重です。
見た目を整えるために手を加えた結果、元の状態に価値を感じる人にとっては、余計なことになってしまうかもしれない。自分がよいと思う仕上げを、次の人も望むとは限りません。
だから、どこまで直すかは次に持つ人に決めてもらう方がいい、と考えてきました。
ただ、傷や塗装の剥がれを残すことと、安心して使えるかどうかは分けて考える必要があります。今回の支柱やスイッチは、見た目の好みだけでは決められない部分です。点灯は確認できましたが、それで修理が済んだわけではありません。
きれいに直せば、それでいいのか
以前、必要な部品はメーカーに頼めば七万〜八万円ほどで揃うと聞きました。当時の記憶なので、今も同じ金額かどうかは分かりません。

交換するか。補修できるのか。どこまで手をかけるか。支柱については、まだ答えが出ていません。
販売することを考えれば、状態を整えた方が紹介しやすい。それでも、目の前のクーペを見ていると、きれいに仕上げることだけを目的にしてよいのか、少し迷います。
傷んでいるところを美化したいわけではありません。曲がりは曲がりですし、直す必要がある部分もある。ただ、それがあるから、この照明を持っていたい気持ちまでなくなるわけではない。
状態のよいものを探すことと、すでに手元にあるものをどう持ち続けるか。似ているようで、判断することはずいぶん違います。
自分で使うなら、どこまで直すのか
メーカーの部品で揃えるのか。補修する方法を探すのか。自分で使うのなら、外観は今のままでもいいのではないか。
接着や溶接も頭をよぎりました。ただ、支柱の材質や損傷に合う方法なのか、まだ判断できていません。考えていることと、実際にできることは別です。
正直にいえば、もうこのまま持っていてもいいのではないか、と思う気持ちもあります。きれいな状態で販売することを考えていたはずなのに、手を動かすうちに、自分の照明として考えるようになっていました。
そう思っても、支柱をどうするかは決まりません。次の人に任せると言っていた判断を、自分でするとなると、簡単には答えが出ない。
販売するか、自分で使うかも、今は決めていません。
まずは注文したスイッチを待つ。その先は、支柱をどうするか。
「次の持ち主が決めればいい」と思っていました。その持ち主が自分でもいいと考えた途端に、直すことが、前より少し難しくなりました。
この記事について
本記事は、選品舎/Helvetica を運営する大西健が執筆しています。
ヴィンテージ家具・古書の選品、販売、記録を通じて、
「残るもの/残らないもの」の判断基準を実務の中で整理しています。










